テニスのグランドスラム4大大会の一つ、2014全米オープンの準決勝でマリン・チリッチがフェデラーにストレート勝ちしましたね。史上最高のテニスプレーヤーとも言われるフェデラーがあっさり負けてしまうのはにわかに信じがたい。
そして決勝は我らが錦織圭とマリン・チリッチが対戦します。もちろん錦織選手に勝ってほしいなと思います。でも、同年齢のチリッチ選手だって侮れません。この選手はどういう人物なのでしょうか。
見出し
実はドーピング検査で処分を受けていた!
テニスの4大大会を何度も優勝しているフェデラー選手に勝ったとはいえ、直近の状況は良くありませんでした。
チリッチ選手、実はドーピング検査に引っかかって2013年の5月から4カ月間の出場停止処分を受けていたのです。
元々9カ月の停止処分でしたが、故意に禁止成分を摂取したわけではなかったので、本来なら9カ月の停止を4カ月に縮めてもらうことができました。
彼がドーピング検査に引っかかった経緯は、フランスの薬局で買ったブドウ糖の錠剤が原因だったのです。中にドーピング検査で禁止されているニケタミドが含まれていたんです。
詳しいことは分かりかねますが、ニケタミドは興奮剤の一種。使用すると気持ちが興奮して止められなくなるようです。
クロアチアのチリッチはフランス語が読めないため、禁止成分が含まれているのに気付かなかったんですよね。単なるミスであり、ドーピングしたくてやったわけじゃありません。
というか彼はドーピング反対志向。だからといって完全に許されたわけじゃありませんが、9カ月の停止処分を4カ月にしてもらうことができたんですよ。
それでも公式戦に復帰できたのは11月のテニス大会BNPパリバ・マスターズから。この大会では勝利を収めましたが、2014全米オープンまで1年もない状況だったんですね。
主にランキング上位100位の選手が多く参加するビッグな大会に出たくないわけがありません。で、時間がない彼が取った策は新たなコーチ、ゴラン・イワニセビッチを迎え入れました!
マリン・チリッチの強さは新コーチ、ゴラン・イワニセビッチにあり
テニス4大大会の一つ、2001年ウィンブルドンでチャンピオンになった成績を持つイワニセビッチ。現役時代は198cmの高身長から放たれる左利きの高速サーブ”サンダー・サーブ”が猛威を振るっていました。
こういう技名が出てくると某イケメンテニス漫画を思い浮かべてしまうのは私だけではないはず(笑)。
イワニセビッチは現役時代、ビッグサーバーだった
で、サンダー・サーブは200km前後出ていたそう。90年代の当時は正式な計測が開始されたばかりだったので、220km/h出ることもあれば180km/hとばらつきはありました。それでも当時じゃすごいサーブだったんですよ。
今のテニス選手だとラケットの性能が上がってるため、男子が最速で263km/h、女子が209km/h出るんですけどね。もう少しで新幹線を追い抜く速さですよ(笑)。
そしてイワニセビッチはサーブで点を取る技術は右に出るものはいないと言われた腕前の持ち主。
そんなコーチから指導を受け始めたチリッチ選手が成長しないはずありませんよね。元々得意だったサーブに磨きがかかって、以前よりも強くなっているのです。
サーブを以前より強化!
フェデラーと戦って勝てたのもサーブのおかげ。苦手なコースに速いサーブを打ち込み、フェデラーから点を何度も取りましたし。
また、フェデラーが打つサーブは難なく返し、ラリー戦に持ち運んでこれまた点をゲット。
イワニセビッチコーチはチリッチに強いサーブを打つだけでなく、返す練習も指導してきたんですね。サーブのプレースタイルがより活性化されました。
この試合でチリッチの最速サーブは211.2km/h。フェデラーの204.8km/hを上回る速度でした。
年齢が33歳のフェデラーよりも、25歳のチリッチのほうが体力があるので当たり前の結果かもしれませんが・・・。
それでも史上最高の選手に勝ったのはすごいことですよ。
ちなみにチリッチが使用していたラケットはこれです。
これを使ってフェデラーに勝ったと。
で、次の決勝では錦織圭と戦うことになります。強敵になることは間違いありませんね。
錦織とチリッチ、サーブはどちらが強い?
錦織のチリッチと過去の成績を見ると錦織に分があります。
●錦織
・過去の対戦成績は5勝2敗。
・世界ランキング11位。(チリッチは16位)
●チリッチ
・高速サーブ
成績だけみたら錦織選手が上。でもこれは過去の結果に基づくものなので、参考にしないほうが良いですね。だって、ランキングの低い彼らは、その上に立つジョコビッチやフェデラーを倒してるわけですから。
錦織選手は勢いに乗ってるけど、チリッチも同様。
チリッチが有利な点としてはやはり211km/hの速いサーブ。錦織は今のところ195km/hが最速です。
そして、この195km/hという数字、実はチリッチのファーストサーブ平均速度でもあるのです。速度は圧倒的にチリッチ選手が上。
やはり体格差かなと思いますが割り切るしかありません。錦織はサーブをなんとしてでも返して試合を運んでいく必要がありそうです。
決勝は日本時間で9月9日の午前5時45分からです。あ、中継がWOWOWだけなので、契約してない私は見ることができません(泣)
【2014.9.9追記】
2014全米オープンの優勝者はマリン・チリッチに決定しました。錦織圭は残念ながら準優勝。
ストレートで勝利したチリッチの200km/h越えのサーブはやっぱり凄まじくて、サービスエース(サーブのボールを触れさせずに点をとること)を連発しました。
現世界ランク1位のジョコビッチ選手に勝った錦織選手ですらまともに反応ができなかったのです。コート内ぎりぎりのところを高速で通過するので、「来た!」と思った頃にはもう後ろにボールが行っちゃってるんですよね。
チリッチ選手のサーブ、強い!強すぎる!
そして、錦織選手がなんとかサーブを返してラリー戦に持ち込んだと思いきや、チリッチ選手の方が試合運びが上手で点を決められてしまいます。錦織選手は先が読めないまま、チリッチ選手が試合をコントロールしていったんですね。
この試合、錦織選手が負けた要因は試合運びやサーブを返せなかっただけではありません。彼はメンタル面を含めて調子が悪かったのです。初めてのグランドスラム決勝という舞台において、プレッシャーを感じていたんですね。
そのせいで緊張して夜は寝付けず、試合当日は体が硬くなってしまって、いつも通りのプレーができなかったと言います。こればかりは仕方ないのかなぁと思います。なんせ初めての経験ですからね。でも、1回経験したので次は改善して来るはずです。
今回は、錦織の優勝を大きく期待していただけに残念な気持ちはありますが、準優勝でも素晴らしいことだと思います。次に向けてゆっくり休んで欲しいですね。
この記事へのコメントはありません。